占いを賢く利用するには

超能力者とメディアの手口

スプーン曲げで有名な某氏のお話です。

昔々日本のテレビ番組で、動かなくなった時計を超能力で動かしてあげましょう、てな企画がありました。

「皆さんの手元にある、動かなくなった時計を両手でしっかり握りしめて下さい。私が皆さんに念を飛ばします。個人差がありますが、キャッチ出来たら時計は動き出します。動いたらここ(画面に電話番号が出る)に電話して下さい。」

というものです。某氏が何やら念を飛ばした様です。しばらくしたらスタジオの電話が一斉に鳴り始め、止まなくなっている様子がテレビに映りました。電話受付係の方々が次々に電話に出ています。

「うぉぉぉおっ、すげ〜!」

って演出な訳ですが、まあ、確かに時計が動き出したケースがあったのも事実です。では、それは某氏の念力だか超能力だかで動く様になったのでしょうか?

アホ吐かせ

ですよ、ホントに。現代の電子式の時計に慣れた人にはピンとこないでしょうが、昔の機械式、ゼンマイ式の時計は歯車などのパーツの間の油が固くなり、部品の動きに支障が出るという故障が一定割合あったのです。それを両手で握りしめて、かつテレビを見ながら少々興奮気味であれば、少し上がり気味の人間の体温で油が柔らかくなり、動き出すケースがあります。テレビ見てた人で時計を握りしめた人が日本国民の1%いれば100万人です。そのうち1%の故障が上記の様な内容であれば、1万人の人の時計が動き出します。で、そのうち2割の人、すなわち2000人が10本かそこらの電話回線に一斉に電話したらどうなりますか?そりゃ鳴り止みませんわな。

「動いた動いた!すげ〜っ!」

近所の人やら会社やら学校でも吹聴したくなるでしょう。超能力ってのはホントにあるんだ、という流れが一丁あがり、という訳です。時計が動かなかった人は、某氏の念力をキャッチするアンテナが無いって話にされちゃうというオマケ付きです。

そんなもんで動くなら、時計職人は要らねーんだよ!

…と思う私はひねくれ者のトンチキ野郎なのでしょうか?超能力で動かなくなった車やオートバイも動く様になるんでしょうか?メカニックの方々は明日から失業ですよ。んな訳無いでしょう。

 

霊能力で金儲けを企てるのは、要はこれと同じ手口なんです。ブームを作ったのはメディアで、一時儲かったらそれで良し、しばらくしたら次のネタです。そして超能力もそうでしたが、必ず「トリックを暴く!」みたいな仕掛けもして、懐疑的な人達からも売上を頂戴する仕組みな訳です。こんなものに踊らされてはいけません。

ちなみに今日のネタ元は、それこそ一時期メディアによく出ていた、安斎育郎・立命館大学名誉教授のお話です。ベースの話があって、私なりの加筆修正をしています。

このおっさんパクリや!と言われたくもないので、正直にお話ししておきます。人間やっぱり勉強ってしとくもんです。ワケの分からないトンデモ話に騙されない人が1人でも増えたら、私の駄文も役に立ったというものです。