占いを賢く利用するには

日本式と中国式③

お客さんの立場では、日本式と中国式は別の占いと思っておくくらいで丁度いいのかな、と私個人は思っています。

しかし、四柱推命の各流儀には決定的な違いが別にあります。それは、

生まれた時間が分からない場合の対応

です。

① 生時をさほど重視しないのが日本式

② 生時不明でもみるけど、精度が下がる中国式

③ 生時不明だと鑑定不可能なのが子平推命

特に③の子平推命については生時は絶対的で、一応生年月日だけでみましょうかということすら不可能です。②の中国式を支持する人の中には考え方がかなり子平寄りの人もいて、生時不明で占うのは四柱ならぬ三柱推命で、邪道だしまがい物だと言う人もいます。

まぁ、仰せごもっともではあるんですよ。

例の2018.10.19 AM4:00 生まれの赤ちゃんの命式を再掲しますね。

時  日  月  年

 甲  壬  戊  ←天干

 申  戌  戌  ←地支

次に、同じ日のAM8:00生まれだとどうなるかを記します。

時  日  月  年

 甲  壬  戊  ←天干

 申  戌  戌  ←地支

はい、確かに時間の柱の文字が変わりました。

この2人の赤ちゃんの命式ってね、特に中国式だと全然違うんですよ。占い師が一言口を挟みたくなる様な細かい話は止めておきますが、簡単に言うと八字のパワーバランスが変わり、その他ややこしい専門用語に関わるものがガラリと変わってしまいます。したがって占い師のお客さんへのアドバイスも全く違うものになります。

でも、生まれた時間が不明ならどうでしょう?

時  日  月  年

 甲  壬  戊  ←天干

 申  戌  戌  ←地支

2人共同じになってしまいます。

中国式で生時不明だと精度が下がるというのはこのことです。だって、この2人の赤ちゃんへのアドバイスが全然違うんですから。

だから中国式派でも生時不明はまがい物だと主張する人がいるのも一応うなずけます。

一方で中国式の占い師は、通常は生年月日しか分からない有名人や政治家、スポーツ選手等の一般に伝わるイメージや実績から生時を推測するという練習をすることもあります。

だからお客さんに色々質問するのは、よく言われるコールドリーディングの為だけって訳でもないんですよね。

 

日本式の場合、これでも別に構わないというやり方が多数を占めます。日本式でも厳密に言うと4:00生まれの方は申と寅を七冲と言って、晩年運に忌象有り云々と取るんですが、無かったら無かったで晩年運だからまぁいいや、で済ませます。何故って、通変星やら十二支運、そしてあくまでも日干主体で鑑定するからであり、八字のパワーバランスは関係無いからです。

この赤ちゃんは日干が甲で月支元命が傷官だから…という解釈の入り方をします。

 

各流儀の正当性について語るつもりはありません。こういう違いがある、という話です。

しかし現実の占い市場において、生まれた時間が分からないと鑑定そのものが不可能というのは、占い師にとってもお客さんにとっても不便であるのは確かだと思います。

私が最初に四柱推命は占術だと思うという自分の立場をハッキリさせたのは、このあたりのことが理由です。専門家が学問的に深く追求するのは他所でやっとくれと思う訳で、10分刻みや1分刻みで時間を買ってくれているお客さんには、分かる範囲の情報で「推命する」のが占い師の正道というものです。

生時不明だと占えないというのは西洋占星術も同じでして、四柱推命や西洋占星術の占い師が九星気学や算命学、数秘術etc.を併用することがあるのは、このあたりの事情もあります。

 

とはいうものの、占いファンの皆様におかれましては、少し予備知識程度に持っておかれると良いと思います。

対面式の占いでも電話占いでも、ご利用の際は生まれた時間を調べておく方が、支払う代金の価値が上がります。